作曲三昧

作曲家十河陽一の日常、非日常日記。

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(YouTube)「夏目漱石・人間模様」より

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夏目漱石の小説から文章を抜き出して合唱組曲を作る」
そんな無謀かつ魅力的な思いつきから20年前に書きあげた合唱組曲「夏目漱石・人間模様」は、
私にとって思い出深い作品のひとつ。
初演団体であり、その後も愛情を持って演奏し続けて下さっている
木下芳宣指揮長岡混声合唱団コールポップスの演奏です。
(1995/7/9大阪いずみホールでの十河陽一作品コンサートにて収録)

私は初演時の曲目解説に
「自らの心を徹底的かつ冷静に分析し、その切れるような痛みに耐えながら小説を書き続けた漱石。
彼の小説に描き出される人間の内面、そして社会のありようは、
一世紀の時を経てなお、普遍のメッセージを私たちに投げかけている」
と書きました。

それからさらに20年、その間私たちは2度の震災を経験し、
この国に対する個人的な思いもずいぶん変わりましたが、
漱石が傍らで見守ってくれているように感じられるという意味では、
当時も今も同じなのではないでしょうか。

出版元 マザーアース 


文:夏目漱石(原文のまま) 作曲:十河陽一
無伴奏混声合唱組曲「夏目漱石・人間模様」より


第一曲「草枕Ⅰ」


"智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
人の世をつくったものは、神でもなければ鬼でもない。やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人である。
ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。
あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう"

第二曲「吾輩は猫であるⅠ」


"我輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたか頓と見当がつかぬ。
何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャーないていた事だけは記憶している"


第三曲「草枕Ⅱ」


"春は眠くなる。猫は鼠を捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。
時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる。ただ菜の花を遠く望んだ時に眼が醒める。
雲雀の声を聞いたときに魂のありかが判然する。
雲雀の鳴くのは口で鳴くのではない。魂全体が鳴くのだ"

第六曲「坊ちゃん」


"考えてみると世間の大部分の人はわるくなることを奨励しているように思う。
わるくならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。
たまに正直な純粋な人を見ると坊っちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。
それじゃ小学校や中学校で嘘をつくな、正直にしろと、倫理の先生が教えないほうがいい。
いっそ思い切って学校で嘘をつく法とか、人を信じない術とか人を乗せる策を教授する方が、
世のためにも当人のためにもなるだろう "
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